「AIとロボット こどもたちの未来」講座
開催日:2018年10月25日(木)11:00-12:00(終了)
2045年、シンギュラリティと呼ばれる大きな転換点(AIが人間の能力と並ぶかもしれない)が来ると言われています。 いま10歳のお子さんが、37歳の働き盛りになる頃です。そんな時代を生き抜く子供たちは、どんな力を今つけておけば良いのでしょうか。いままでのような知識偏重の学びではAIを使いこなすことは難しいようです。膨大に蓄積されたデータを縦横無尽に扱えるAIを前に、どんな活動が人間の生活を豊かにしてくれるのでしょう。
いまのAIには、「心」が組み込まれてはいません。そもそも人間の「心」とはどんなものなのでしょう。「脳」はだませるが、「心」はだませないそうです。だからこそ、人間は悩み、成長します。AIが壮大な能力を持ったとして、「心」を持たないAIの指示に人は従うのでしょうか。子どもたちの未来、一緒に考えましょう。
今後、AIが人間の生活にどんな影響を与えるのか、まったく予想もできません。AIやロボットの研究に携わってきて感じるのは、生命の偉大さです。いろいろな生命が環境に適応しながら進化してきています。AIやロボットは、地球上の生物や、人間の再現を目指そうとするものではありません。生物や人間のパートナーとして、生活を豊かにしてくれるものを目指すものです。「不気味の谷」と呼ばれるものがあって、人は、AIやロボットがある一定の範囲を超えて実際の生物に似過ぎると、気色悪さを感じてパートナーとして近くにいることを快く思わなくなるそうです。
科学や技術は日々、新しい発見、発明が行われ人間の生活を豊かにしてきました。一方、人の脳は100年前、1000年前とそんなに変わってはいません。覚えなければならない知識の量は格段に増え、身に付けなければならない技能も数段レベルが上がっています。必然的に自分が育った子供時代と比べても、今のこどもたちは、さらに覚えること、身に付けなければならないこと、増えていますよね。大変ですね。そんな中、限られた時間の中での効率重視の学びを求めていくと、省略されたり、減少したりしている学習内容が当然出てきます。人と人とのふれあいや、生命に対する尊厳の気持ちが軽んぜられていないか、心配しています。
タブレットや、ネット経由で楽しく学ぶことも素晴らしいと思います。素晴らしい教材がたくさん開発されています。が、楽しく競い合いながら一生懸命学ぶこどもたちの、その向こうでこちらに振り返ったAI搭載のロボットが「ニヤリ」としている気がして不安です。
アンケートにも丁寧にお答えいただき、ありがとうございました。たくさんの温かい励ましの言葉やアドバイスもいただきました。Pepperの講座以来、お子さんの学びに真剣に向き合っていらっしゃるお母さま方にも多数参加していただきました。
また、機会があれば、これからも、こどもたちの未来について一緒に考えていきましょう。
佐野典秀 sanoアットマークssu.ac.jp